文ログ

自分のために書いてる駄文。絵は無いです。

ハロウィン(2018)

去る4月12日(金)、ホラー映画「ハロウィン」を観てきました。

ハロウィンという映画は日本での知名度は低いけど、13日の金曜日エルム街の悪夢と並ぶ3大サイコキラー映画の一つと言われていて、最近ではDead by Daylightというビデオゲームの影響で日本でも少し知名度が高くなっているみたい。かくいう自分もそのゲームでこの映画を知ったんだけれども。

簡潔な感想としては、大作という作りではないけれど過去作オマージュてんこ盛りのファンサービス映画という感じでした。

以下、がっつりネタバレを含めた感想です。

かなり期待して観に行ったのですが、正直なところ鑑賞直後はそこまで面白い作品だったとは思えず、ツイッターで絶賛してる人たち見かけて「え…?そんなでもなくね…?」と思っていたんですが、数日経ってそのへんの解釈がなぜ違ったのかがなんとなくわかったのでそのへんも含めて書いていきます。
また、続編映画ですが過去作品は鑑賞済みだとして話していきますのでよろしくお願いします。


この映画の見どころはババアローリーの格好良さ。
1978年にマイケルに襲われ、以来40年間マイケルを殺すことだけを考えて生きてきたある意味今作で一番やばい人物。ボクシングや銃撃の修行シーンが入ったりとやたらパワフルなババアとして描かれていました。
血縁者の命を執拗に狙うマイケルの習性を恐れてか、実の娘に武器の使い方や身の守り方を幼いころから叩き込んだ結果、娘にキチガイ認定されて不仲になるという奇人変人っぷり。
ただ、これらは1978年の事件のPTSDで気が触れないように、それだけに執着して正気を保っていたようにも見えました。
また、孫娘とはわりと仲がいいっていうのも変わり者の老人と若い子のコンビでB級映画にありがちでいい設定だなと思いました。

そう、この作品よくよく考えたらB級映画だったんです。

ハロウィン1978年版と2007年版は「マイケルマイヤーズの恐怖に焦点を当てた傑作サイコホラー作品」なんですが、今作は「ババアとその娘と孫娘が殺人鬼と対決する話」です。完全にB級映画です(褒めている)。

頭の方で書きましたが、自分はこの映画を「傑作サイコホラー作品」という前提で鑑賞していたので、結果やや期待外れという評価をしてしまったんですね。
実際バイオレンスシーンは多いものの、過去作で魅力的に感じたマイケルの静かな狂気の描写も少なかったように感じました。遠くからじっと見てる描写もっと入れてほしかったな。


次に、セルフオマージュ作品としての魅力。

映画が始まるとまず最初に名物BGMであるHalloween Themeと共にジャコランタンが映る既視感のあるOPが流れるんですが、この時点で一回鳥肌立ちました。これは初期作品1978年版のOPオマージュで、焼け付いたような橙色のフォントまで再現してあってこれ見た段階で半分くらい満足してしまいました。
参考に、1978年版→https://www.youtube.com/watch?v=XtTQOU2PjZ8
そしてこちらが2018年版→https://www.youtube.com/watch?v=oyuU3nLyMTw
こういう過去作品オマージュが大好きなので本当に興奮したと同時に、この演出のせいで俺の「ホラー映画」に対する期待のハードルが更に高まってしまったんですけれども…。

そしてこの映画最大の見せ場であるマイケルVSローリー家三世代の最終決戦のひと幕。
娘のカレンと孫娘のアリソンを地下室に避難させ、ローリーは散弾銃を手にマイケルを2階へ追い詰めるも、格闘の末2階から突き落とされてしまう。マイケルは階下へ落下したローリーからふと目をそらし、再び視線を戻すとそこに倒れていたはずのローリーはいなくなっていた。
このシーンはハロウィン1の最後の最後のシーンのオマージュで、本来は1の主人公のルーミス博士がマイケルを拳銃で撃ち二階のベランダから落下させるというシーンなんですが、今回はマイケルではなくローリーがその位置にいる。これは他のハロウィンシリーズでもたまに描かれる描写なんですが、ローリーにもマイケルと同じ純粋な邪悪が眠っていて、それの比喩表現としてローリーとマイケルに同じ演出を適用したのではないかと思います。
同じ理由で、マイケルの後ろの暗がりからローリーの顔がうっすらと出てくる演出も過去作品におけるマイケルがよくやっていた暗がりからの出現演出なので、これもマイケルとローリーの強いつながりを表現する意味で使ったんじゃないかなと思っています。
マイケルに最後にダメージを与えるのは、それまで泣きわめいていた孫娘のアリソンでした。使った武器は「肉包丁」。そして地下室にマイケルを閉じ込め家に火を放ち、ローリー一家VSマイケルの対決は幕を閉じました。
車の中で疲れ切った三人が座り込む中、アリソンの手には血塗れの肉包丁が握られていた…という、もしかしたらアリソンの中にはマイケルの狂気が伝染しているのかもしれないという思わせぶりなシーンで映画は終わります。
これもハロウィンⅡ2009年版で似た演出があったので、監督は違うけどこれもオマージュでやったんだろうなという印象です(単に続編をにおわせたいだけなのかもしれないけど)。
あまり関係ないけどなんで後継者作ろうとするんですかね…初代の人気超えられるわけないのに


最後に、ざっくりと総評。

序盤の記者たちはそんなにいらなかった気もしますが、イントロでマイケルとローリーを簡単に説明する役としては必要だったのかなと。また、マイヤーズ家の騒動に面白半分で首を突っ込んだ結果マイケルに惨殺されてしまう、マイケルの残忍さを演出する点でも一役買っていたかもしれません。

中盤に関してはやや中だるみと言いますか、正直微妙です。
精神科医がマイケルに魅入ってしまい裏切る場面とか、いるのかこれという感じでしたね。しかもそんなしょーもないシーンで1からの古参登場人物であるホーキンス死ぬし…w

終盤の対決シーンは言わずもがな最高ですが、その中でもカレンがマイケルを銃撃するシーンはB級映画まっしぐらでなかなかよかったですね。あれが無かったらホラーとしてもB級としても微妙だったかもしれないと言えるくらい決定的にB級映画だとわかるシーンでした。